姿勢筋と相動筋が招く姿勢変異
- 2022年12月25日
- 【簡単・からだ講座】, 🔸姿勢
今回は筋肉と、その影響による姿勢変異についてお話します。
筋肉は「姿勢筋」と「相動筋」という2種類に、
運動生理学的な見地で分けることができます。
姿勢筋とは亢重力筋とも呼ばれ、緊張性で機能亢進しやすく
ストレスを受けると緊張・短縮を起こしやすいです。
相動筋より筋力は強く主に多関節筋のことが多く、
脊柱起立筋
腰方形筋
大腰筋
後脛骨筋
ハムストリング
小胸筋
などが挙げられます。
相動筋は速い動きを伴なう筋肉で活動的な筋肉を指し、
ストレスを受けると緩・弱化し筋力低下を起こしやすいです。
筋力は姿勢筋に対して弱い傾向があり、
腹直筋
腹斜筋
大殿筋
中臀筋
大腿四頭筋
前脛骨筋
などが挙げられます。
この両者には神経的な連鎖がみられます。
例えば、体幹屈曲に於ける腹筋は相動筋であり、
一方、体幹伸筋の脊柱起立筋は姿勢筋にあたり、
姿勢筋である脊柱起立筋の緊張・短縮は
拮抗関係にある相動筋の腹直筋の機能を低下させます。
話は一旦変わりますが・・・
体の全ての部分はキネマティックチェーン(運動学的連鎖)によって
機能的に連結、連動しています。
筋の過緊張、・短縮、筋力低下によって関節の可動性制限や不安定化が生じ、
逆に、関節が原因する機能異常によっても筋の機能低下も起こりえます。
運動学的な連鎖反応は筋系・骨格系両方を通して起こっています。
骨格系は関節を介して接続し、筋は独立した組織ではなく、
筋膜のネットワークを通して機能的に連動しています。
加えて、筋の収縮は関節の可動性や安定性・非安定性に関わり、
両者には複合的なキネマティックチェーンが存在します。
また、筋や関節の機能異常は神経系を介し、同側や他側の拮抗筋の機能亢進/低下、
中枢神経へのインパルスの減少などを起こします。
これらは遠心性抑制路の機能低下の原因となり、末梢の筋や関節に作用を及ぼします。
このように体のある部分に筋系、神経系、骨格系などの機能的な障害が起こると、
他の部分に代償性の姿勢変異が生じる訳です。
また、脊柱は仙椎基底部上に位置し、その上の脊柱の彎曲の度合いは
基底部の角度(腰仙角)によって決められます。
腰仙角が増大すれば骨盤は前傾し、減少すれば骨盤は後傾することになります。
- 過緊張・短縮すると骨盤の前傾を招く筋肉
腸腰筋や大腿直筋、縫工筋などの股関節屈曲筋群と
脊柱起立筋群などが挙げられます。
- 過緊張・短縮すると骨盤の後傾を招く筋肉
大殿筋やハムストリングスなどの股関節伸展筋群と
腹直筋や内・外腹斜筋などの腹筋群などが挙げられます。
筋肉には過緊張・短縮したり、機能低下することで骨盤が前傾したり
後傾する上記の様な筋肉があります。
言い換えれば、これらの筋緊張を解いたり、短縮を伸長すること、
また機能低下している場合はそれらを鍛えることで
骨盤を、よりニュートラルな状態に戻すことも可能と言える訳です。
もちろん、骨の変形、椎間板の変性などの問題もありますが、
骨盤がニュートラルに戻れば、腰仙角も正常に近づき、
その上の脊柱の弯曲も理想の状態に近づくと考えられます。
〈参考資料〉
●図解 姿勢検査法 医道の日本社
●運動器の機能解剖 医歯薬出版株式会社
など