アイシングによる疲労回復
- 2022年12月01日
- 【スポーツとコンディショニング】, 🔸疲労回復
スポーツを真剣に取り組めば取り組む人ほど、
より強くなりたい、上手くなりたい
と考えるのは当然のことでしょう。
だからこそ厳しい練習にも耐え、極限まで追い込んだ
トレーニングを続けていけるのだと思います。
その一方、トレーニングがハードになればなるほど
疲労の蓄積も増えていきます。
疲労が許容量を超えてしまうと体力も低下傾向に変わり、
怪我の原因にもなってきます。
いわゆる「オーバートレーニング症候群」です。
疲労回復とトレーニングを交互に有効に重ねて行くことで
初めて「超回復」が得られ、
効果的なパフォーマンスUPに繋がっていくのです。
従って疲労回復は体力向上を考える上で絶対条件と言えます。
そこで何回かに渡り疲労回復の有効な方法を
随時紹介していきたいと思います。
まず1回目は「アイシング」です。
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アイシングと言うとスポーツで外傷した時
RICE処置の一環で炎症を抑えることは知られていますが、
効果はそれだけではありません。
激しい運動を行うと筋肉の温度は上昇し、
筋繊維や関節の組織などが微小に損傷した状態になります。
その後、損傷した組織は炎症や腫脹を起こし始めます。
これらの反応は損傷した組織の回復には必要ですが、
過剰に熱を持ったり腫脹すると回りの細胞まで
傷つけることになり、かえって回復を遅らせてしまいます。
そこで上がりすぎた筋肉の温度を低下させて適温に戻し、
筋肉の炎症などの反応を抑えるためにアイシングを行います。
さらに冷やす事で神経の働きも鈍くなるため、
筋肉をリラックスさせる効果も期待出来ます。
逆に激しいトレーニングの後にサウナなどで筋肉を温めると、
筋肉痛が酷くなり回復が遅れる場合があるので注意が必要です。
運動後にストレッチや軽い有酸素運動、アイシングをする事で
疲労や筋肉痛の原因となる「乳酸」の蓄積を抑えることができます。
※乳酸自体が疲労の原因ではありません。
近年、日本でもトップアスリート達の中では
運動後のアイシングは常識化してきました。
最近ではラグビー日本代表のメンバーが練習後、
アイスバスで疲労回復を図るシーンがTVでも放送されました。
しかしまだまだ歴史は浅く、末端まで浸透はしていません。
スポーツ先進国アメリカでは、高校生レベルでも練習後のアイシング、
練習前のアイシングもきちんとやられているそうです。
海外のトップアスリートの間では練習後のアイシングは今や常識なのです。
皆さんお馴染みのクリスティアーノ・ロナウド選手も
練習後や試合後にのアイスバスを利用しています♪*゚
こちらはプロトライアスリート、ダン・ヒューゴ選手です。
ここでアイシングによる効果をまとめてみましょう!
(1)アイシングした患部(主に皮膚表面)の温度を低下させる
(2)細胞の新陳代謝を低下させる
アイシングはケガの応急処置にも用いられますが、
冷却によって血流と組織レベルでの代謝が低下するためで、
ダメージを受けた組織の二次的な低酸素症を抑制できます。
(3)局所の炎症が軽減する(腫張の抑制)
(4)痛みを和らげる(神経の伝達速度を低下させる)
(5)血液循環への影響
(6)筋肉の緊張を和らげるリラクゼーション効果がある
(7)医学的にはリハビリテーション開始時期に用い、
治療期間の短縮、術後の疼痛緩和などの効果を期待しています。
【運動前のアイシング】
アイシングによって筋肉や関節の痛みに対する
閾値の上昇により鎮痛効果が得られるので、
ウォームアップ時に痛みを感じることなく始動できます。
また、骨格筋内の感覚受容器である筋紡錘の活動低下によって
筋肉の緊張が緩和され、 可動域アップを目的としています。
冷却効果が持続している間にウォームアップを開始すれば、
痛みを緩和した状態でより効果的な始動ができますので、
スムーズに次のステップへと移行できると考えられています。
【アイシング後の運動の注意点】
アイシングで局所の神経や筋の活動は低下していますから、
直後の運動はダッシュなどの俊敏な動作は行わず、
ストレッチなどの軽度にとどめるべきです。
(冷却とストレッチを組み合わせたクライオストレッチなど)
また各種疾患により局所の知覚神経鈍麻がある方、心疾患のある方、
局所の血管性循環障害をもつ人、冷却に過敏な人は要注意です。
アイシングによって凍傷を起こす場合もあります。
また、障害をもたない人でも長時間冷やすと
凍傷になる恐れがあるので、冷却部位が無感覚になったら
アイシングを一時中断し、皮膚の温度や感覚が戻ってきてから
再開してください。
【運動後のアフターケアの順番】
激しい運動をした後のケアにもいろんな方法があり、
それをしっかり行う事が大切です。
①軽いジョギングなどでクールダウン
▼
②アイシング
▼(運動終了後30分以内に捕食などで栄養補給)
③ストレッチ
▼(栄養補給はここで行っても良し)
④マッサージ
激しい運動であればあるほど筋肉を過度に使いますが、
多くのスポーツでは全身の筋肉を均等に使うことはあまりなく、
脚や腕などの一部の筋肉を酷使することが多いです。
一部の筋肉には多くの血液が流れ、
運動中だとその筋肉が収縮することで
筋肉内の血液がしっかりと心臓に戻ります。
しかし、激しい運動を急に止めてしまうと、
集まった血液や疲労物質がその部位に留まってしまうので、
軽く体を動かす事で血液や疲労物資を全身に流す必要があります。
クールダウンの方法は様々ですが、
まずは運動直後の数分間軽めのジョグやウォーキングが効果的です。
アイシングのタイミングは運動終了後、早ければ早いほど効果大です。
運動終了後30分以内に開始するのがベスト!
アイシングをして終わるよりも多少動く方が良いので、
アイシング後にストレッチが良いです。
【各種アイシング】
●氷嚢によるアイシング
市販されている氷嚢やビニール袋にクラッシュアイスを入れ、
中の空気を抜いて利用します。
変形が容易で受傷部への密着性も高いので
クラッシュアイスが基本ですが、アイスキューブなどを
使用する時は、少量の水を入れて良く混ぜ合わせ角を取ります。
氷間の空間を埋め、密着性を高め、受傷部への当たりを弱め、
空気を抜いて利用します。
疲労回復目的のアイシングの場合、
およそ20分を1回あてるだけでいいでしょう。
●アイスバス
冷たいお風呂に10分浸かるだけという簡単なものです。
15度くらいの水をお風呂に入れて、腰まで浸かります。
それだけでOKです。
浸かった後、温かいシャワーを浴びてもよいですし、
そのまま終了しても大丈夫です。
●アイスマッサージ
紙コップに水を入れて凍らせたものを、コップの上部を破き
氷で直接皮膚に円を描くようにマッサージを行います。
アイスキューブなどを直接皮膚にあてるでも可です。
基本的には、時間ではなく患部の感覚が無くなったところで
やめて下さい。およそ10分で感覚が麻痺します。
運動前のシンスプリントやアキレス腱、膝の下や首、指、
手首などを局所的に冷やしたい場合に効果的で、
疲労回復のアイシングにも適しています。
●交代浴
交代浴とは、温かいお湯と冷たい水を交互に浴びる入浴法のことです。
実践するタイミングは運動後出来るだけすぐが良いでしょう。
先ず水風呂から始めます。(疲労のある局所にシャワーだけでも良い)
水20秒~1分、お湯2~3分程度で総時間6分~12分程度で十分です。
(長くやれば良いというものではない)
サイクルは3~5回が一般的です。
※水とお湯の順序には諸説ありますが、さほどの有意差はなく、
そんなに神経質にならなくても良さそうです。
http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2012/1K09A031.pdf
お湯は38℃~40℃程のあまり暑すぎない温度で
水は15℃~20℃くらいが適当です。
手軽なので私もラン後にやってますが、
この時期水は結構キツイです(笑)
いかがでしょうか?
皆さんも宜しければ参考にしてみてください♬